不妊治療をやめて幸せなこと 4.趣味を心から楽しめる

映画を観ることが好きです。

洋画も邦画も好きでほぼオールジャンル観ます。ストーリー、映像、セリフ、役者さん、衣裳、音楽…たくさんの楽しみが詰まっている。ワクワクしたり癒されたりして、心が晴れる。幸せなひととき。

不妊治療中、大好きな映画すら楽しめいくらい気持ちがふさぎ込むときがありました。

お金ばかりかかって何の成果も出ない。お金を捨てている気がして、毎日ただ生活しているだけでも罪悪感があったのです。何かを楽しむことすら許されない気がしていました。

子ありの人生か子なしの人生か…未来の予測がつかず決められず、暗闇でフワフワ浮いているような状態。よく不妊治療中を「出口のないトンネルを歩いているかのよう」と例えられるけれど、私は「歩いている」気がしなかった。目の前に道がないように思えた。宇宙みたいな真っ暗闇にポンっと投げ出されているような感覚。産める可能性はすごく低い気がする。けれど、子供を育てる人生を諦める勇気なんてない。どちらの人生のスタートラインにも立てず、停滞していた。

自分がどこに向かっているのか分からず、むなしくて、何をしても心から楽しいと思えなくなっていました。

大好きな映画を観ているはずなのに、どこか心は上の空で、眺めているだけ。幸せなシーンを観れば、私にはこんな幸せ程遠いと思い、不幸せなシーンをみれば、自分が不幸に向かっている気がしてものすごく怖くなる。そんな感じ方しかできなくなっていた。

不妊治療をやめた時、どんな人生を歩めばいいのか、まったく分からなかった。不安だった。怖かった。けれど自分の未来が「子供がいない人生」に決まったことで、目の前に道ができました。そのスタートラインに立てた。

それだけで頭がクリアになった気がしました。

今まで何をしていても楽しいと思えなかった自分の心が、少しずつ溶けていくのを感じました。

今まで心から楽しめなかった映画も、自然と楽しめるようになって、観たい映画がどんどん出てきます。

『明日に向かって撃て』『眺めのいい部屋売ります』『怒り』『デスプルーフinグラインドハウス』『永い言い訳』『バベットの晩餐』『タイピスト』『殺人の追憶』『ひまわり』…

ストーリー、映像、セリフ、役者さん、衣裳、音楽…たくさんの楽しみが詰まっている。あぁ、至福の時間。

不妊治療を振り返ると、自分の夢に向かっているようでいて、自分の好きなことを、ことごとく我慢した生活を送っていたと思います。子供を産み育てるということは、そこまで我慢する価値があるくらい幸せなことなのだと思います。その大きな幸せをつかむために、自分を犠牲にしていた。

そんな自分を否定することはありませんが、どこか違和感を感じていたことも否めません。

不妊治療をやめてから、リハビリのように、自分の「好き」を再確認して取り戻すことをしているように思います。

食事・運動・仕事・趣味…。生活の中に、たくさんの「好き」がある。

無意識に感じる「幸せ」にどんどんピントが合っていくような気がする。

辛かった日々が教えてくれた「今ある幸せ」

それを大切に生きていけば何とかなるのではないか?そんな希望が見えてくるようになりました。

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