不妊治療をやめるきっかけになったのは、2度目の体外受精が失敗に終わったときでした。
1度目の体外受精で採卵できたのは、たったの3個。
そのうちのひとつも受精卵にならず、移植することすらできませんでした。
2度目の体外受精では6個採卵できましたが、またも全滅。
心が折れるどころか、心を粉々に打ち砕かれたような、圧倒的な敗北感におそわれました。
何度も通院して、サプリを飲み薬を飲み、何度も注射をして、ホルモンバランスを調整する。
精神的にも肉体的にもつらい。でも、やるしかない。
不安、孤独…暗闇にいるような気持ちの中、一縷の望みに託している。
その望みも何度も一瞬で消えていく。
今までやってきたことが何ひとつ結果につながらず、
高額の治療費だけが積み重なっていく。
お金が泡のようにはじけてなくなっていく気分。
何も残らない…。
治療を続けるために病院に行くことが、どうしてもできなくなりました。
心が前を向かなかった。
受精卵がいくつか育って凍結できていれば…着床への希望が持てたと思います。
その後、妊娠できるかは分からない。産めるかも分からない。けれど、治療を続ける意欲は湧いたと思う。
しかし、採卵の3度目のチャレンジをするとなると、めまいがするほど気が遠くなりました。
採卵を行い受精卵が育つことをめざし、
移植して着床することをめざし、
妊娠できたらお腹の中で赤ちゃんが育つことをめざし、
無事産むことをめざす。
2度の採卵で受精卵が一個も育たず、何度もリセットを繰り返し、2回流産した、42歳の体で。
「子供を産み育てることを諦める」決心ができたわけではありませんでした。
ただ治療を続ける力が尽きた。
どうしても病院にいけない。それだけでした。
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